宮城県上高森遺跡・北海道総進不動坂遺跡における 旧石器発掘捏造に関する声明 |
2000年11月5日に発覚した藤村新一氏による前期旧石器発掘捏造に私たちは言葉を失うほどの強い衝撃を受けると同時に、このことが旧石器時代研究に計り知れない打撃を与えたばかりか考古学研究への国民の信頼を失墜させてしまったことを誠に遺憾とするものであります。本会は、発足当時から前・中期旧石器研究の最新成果の発表の場として、毎回のように国内最古を塗り替える成果を世におくりだす牽引車でもありました。捏造行為を防げなかったこと、また、その行為を見抜けなかったことを真摯に反省すべきものと考えます。 今回の捏造により、上高森遺跡・総進不動坂遺跡の今年の調査だけでなく、藤村氏の関与したすべての遺跡の調査成果についてその信憑性が問われることとなりました。 このような中、今、本会ができることはなにかを考え、その第一歩として関係各方面の絶大なご協力を頂き、発掘調査の経過を振り返ると同時に、出土石器そのものによる検討会を開催したところです。快く資料をご提供下さいました関係各位に深甚の謝意を表する次第です。また、パネリストの皆様をはじめ、全国各地から参集された方々から貴重なご意見を発表していただきました。今回の討論を通じ、前・中期旧石器研究を進めるためには、なお多くの解決すべき課題があることが改めて浮き彫りにされました。 藤村氏の関与した資料・遺跡の検証作業を通じ、捏造を見抜けなかった調査方法の問題点や不備を検討し、再発防止に万全を期すことも重要です。客観性保持のための発掘方法や記録方法を検討し、出土資料、記録を速やかに公表する場として本会が果たすべき役割は今後とも続くものと考えます。遺跡の検証と失われた信頼を回復するためには、なお、多くの時間を要するものと思われますが、一歩ずつ着実に積み上げなければならないと考えます。 今回捏造が明らかとなった宮城県上高森遺跡の新たな調査には日本考古学協会、宮城県考古学会と連携をはかりながら、本会を挙げて体制・組織づくりを目指す所存です。その他の遺跡の再調査にもできうる限り協力して参りたいと考えます。 |
以上 |
2000年12月24日 東北日本の旧石器文化を語る会世話人会 |