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郡山遺跡(郡山2丁目地区)発掘調査
現地説明会:2001.11.17  調査主体:仙台市教育委員会
 
 郡山遺跡は、古代陸奥国府多賀城より古い官衙(役所)遺跡として注目され、仙台市教育委員会が昭和54年から調査を継続している。これまでの調査により、約1300年前(飛鳥〜奈良時代)に大規模な官衙が2回(I期・II期)にわたって造られていることや、講堂・金堂・塔など東北地方では最古の伽藍配置を持つ寺院(郡山廃寺)の存在が明らかにされてきた。
 発掘調査は長町副都心土地区画整理事業に伴い、郡山遺跡I期官衙西辺の推定ラインの西側の隣接地で行なわれた。

郡山遺跡I期官衙に関係すると考えられる溝跡の南東コーナー部分。ここから東に約50m(写真奥の塀の向こう側)にI期官衙西辺の推定ラインが平行して位置する。I期官衙の中軸線は真北から30〜40度ずれている。

溝跡(南北方向)の完掘状況と遺物出土状況。大きく削平を受けており、溝跡以外の遺構は残存していない。溝跡の残存幅は3〜4m、深さ50cm。

溝跡の土層断面と遺物出土状況。埋土の堆積状況から水が流れていたと考えられる。遺物は7世紀中頃〜8世紀初頭の土師器・須恵器を主体とする。

郡山遺跡I期官衙と検出された溝跡の位置関係。

現地説明会風景。

地表下約2mで石器類とともに検出された縄紋時代晩期の土器類。

まとめ
  • L字形に検出された溝跡の南北方向部分は、郡山遺跡I期官衙西辺の推定ラインとほぼ平行であることから、役所跡に関連する溝跡か、あるいは役所跡周辺の土地割りに伴うものである可能性がある。
  • 地表下約2mで縄紋時代晩期の土器・石器類が検出された。
参考文献
仙台市教育委員会2001「郡山遺跡・長町駅東遺跡現地説明会資料」