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石積み工法の見直しや検討委設置を要望

仙台城の石垣を守る会 2月8日

 「仙台城の石垣を守る会」(代表世話人・平川新東北大学教授)が仙台市長に「仙台城本丸の石垣修復に関する要望書」を提出。石積み工事について工法の見直しや検討委員会の設置を求めた。
 これに対して、市長代理 として渡邉康夫建設局長、天野義信百年の杜推進部長らが応対。渡邉局長は要望に対して「今回の工事の基本姿勢は、第一には、本丸石垣下の市道を通る市民の安全を確保すること、第二には、安全確保を優先させた上で、できる限り伝統技術を伝承することにある」と説明。「伝統工法とは、空積み、盛土、裏込であり、石積みにはそうした工法を使って2002年に完成させる予定」とし、石垣修復の構造については解散前の仙台城跡石垣修復等検討委員会において承認されたものであり問題はなく検討委員会の再設置は必要ないとの考えを示した。
 市の説明では、石垣の修復は発掘されずに今も地中に埋もれている旧石垣の基礎部分の上での工事となるため、十分な基礎固めができないという制約があるという。天野部長は「旧来の石垣では下方ほど破損石材が多く、そこの石材に特に配慮する必要がある。今、石垣積み直しの最下層に使用している長方形の石は、荷重を均等に受けるのに一番いい形である」とした。
 平川教授は「仙台城本丸石垣の旧来の姿こそが真の伝統工法である」とした上で、「そもそもどういう工法で発注したのか。もし仕様書で長い石材を使うことになっていれば最初から伝統工法に反したやり方ということで重大な問題だ。また仕様書と違うやり方ということになれば、これもまた重大な問題だ」と指摘。今の工法がどの段階で決まったかを確認するために、工事発注にかかわる仕様書等の情報開示を求めた。
 さらに守る会では、石垣中に元の石材と著しく異なる形状の石材を使用することは、仙台城の国史跡指定をさらに遠ざける結果になりかねないとして、「昨年11月に藤井市長は国の史跡指定を目指すと表明したが、本当に国の史跡指定を目指す気があるのか」と市としての考えを正した。
 会見後の記者会見で守る会は「現在の工法で石積みを続けると仙台城石垣の文化財としての価値が大きく損なわれる」と強調。「調査検討委員会を設置する意思はないという発言は問題であり、今から仕様書等の情報開示の手続きに入る」と話した。