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仙台城跡関連情報

仙台城跡をめぐる主な動き‐2002年‐

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01月04日 仙台市教委が仙台城跡の石垣解体に伴う3年間の発掘調査結果をまとめたDVDを作製しているとの記事が河北新報に掲載される。埋め戻される2種類の古い石垣や豪華な出土品を、映像やCGなどで紹介する内容。仙台開府四百年記念事業の1つで、永久保存版として今年春にも発売される。
01月17日 「仙台城の石垣を守る会」(代表・平川新東北大学教授)は文化庁に対し、仙台市の計画は文化庁が示す建造物復元の条件を満たさず、復元とは全く違う偽造であるとして、計画の白紙撤回を指導するよう要望した。
01月17日 仙台市の「仙台城艮櫓復元専門委員会」(委員長・佐藤巧東北大学名誉教授)の第2回会合が市役所で開かれ、櫓の規模などを検討した。市側はほかの城郭と比較した結果、櫓の高さを基本設計(高さ16.5m)から3階建ての1階部分の高さを約60cm低くする案を示し、委員会はおおむね了承した。艮櫓の基礎を支えるコンクリート製の杭を打つ部分の事前発掘調査は、石垣の積み上げ作業の進行状況から、今年夏ごろ始まる見込み。市では早ければ2002年度中に基礎工事に着手する方針。石垣復元は2003年度末に完了する予定で、艮櫓は2004年4月から2年ほどかけて建設される見通し。
01月20日 藩制時代以降、仙台の城下町を縦横に流れ、庶民の生活用水として重要な役割を果たした「四ツ谷用水」に関するカルタを、仙台市内の市民グループ「四ツ谷の水を街並みに! 市民の会」(佐藤昭典代表、会員約80人)が製作し、青葉区の勾当台会館でお披露目大会が開かれる。
01月18日 仙台市の「仙台城石垣修復工事専門委員会」(委員長・新谷洋二東京大学名誉教授)の第6回会合が青葉区役所で開かれ、石垣背面の「裏込め」「盛り土」と、「基礎地盤」の3つの補強対策を検討。
01月31日 河北新報「断面」に「環境・景観守れ/広瀬川架橋計画に疑問の声/仙台市地下鉄東西線/トンネル化検討を/市側「建設コストかさむ」」掲載。仙台市が2004年度の着工を目指す地下鉄東西線のルート上に、広瀬川を渡す橋の建設計画があり、「環境や景観に悪影響を与える」と専門家や市民団体から疑問の声が上がっている。架橋地点は、仙台城跡周辺の観光ルートとなっている大橋の約200m上流で、「仙台の顔」とも言える場所。橋を架けず川の地下を通すことも技術的には可能であり、専門家らは「橋を架ける必要が本当にあるのか。市は積極的に情報を公開し、議論の場をつくるべきだ」と求めている。
02月08日 河北新報「論壇」に高倉淳仙台郷土研究会副会長の投稿「仙台市に公文書館を/石垣の史実 正しく残せ」掲載。仙台城の艮櫓復元をめぐる論議が始まってからこれまでに作成された石垣問題に関する文書や資料は、仙台市に公文書館があり、専門職員が配置されていれば、適正に収集・整理されるであろうが、仙台市が史実に反する艮櫓を建設し、それを正当化した文書が残されれば、100年後に仙台城を訪れた人は、政宗が3期石垣の上に艮櫓を建てたと思い込むとして、史実に基づいた復元と、これらを正しく後世に伝えるための公文書館の建設を要望している。
02月19日 仙台市文化財保護審議会(会長・大石直正東北学院大学教授)で、仙台城跡の史跡指定をめぐり、「敷地のうち市有地を国史跡として先に部分指定してもらうか、それができなければ仙台市の史跡に指定する道もあるのではないか」との提案が出された。審議会は次回も引き続き史跡指定の可能性を話し合うことを決めた。
03月04日 仙台城跡の調査・整備をめぐり、仙台郷土研究会(斎藤温次郎会長)など史学関係7団体は仙台市に対して、艮櫓復元の計画を白紙に戻し、古い石垣の保存に万全を期すよう求める要望書を提出した。要望書は、市が設置した仙台城の石垣修復、艮櫓復元、文化財調査に関する3委員会の連絡が不十分で、全体を見据えた議論になっていないと指摘。艮櫓建設のコンクリート支柱が築城期の石垣に与える重大な被害に触れないまま議論するなど検討に不備が目立つため、仙台城跡の国史跡指定を危うくするなどとして、3委員会の連携を密にし、全体的な整備について市民や研究者の意見を聞く場も設けるよう要望した。
03月18日 仙台市の「仙台城跡調査指導委員会」(委員長・斎藤鋭雄宮城県農業短期大学名誉教授)の第2回会合が市役所で開かれた。市が国の史跡指定を目指すとしながら、現存石垣上には存在しなかった艮櫓の建設を計画していることに対し委員から批判が相次ぐ。
03月19日 仙台市の「仙台城石垣修復工事専門委員会」(委員長・新谷洋二東京大学名誉教授)の第7回会合が市役所で開かれ、石垣の背後に艮櫓の支持杭(コンクリート製パイル)を立てることに対し、委員から石垣の安全性が揺らぐとして疑問視する声が相次ぐ。
03月21日 河北新報「開府四百年 仙台藩ものがたり(53)/終章 語り継ぐもの<上>今も生きる政宗の遺産」掲載。
03月22日 仙台城の石垣を守る会が仙台市に対し、艮櫓建設に代わる歴史的建造物の検討を提案するとともに、国史跡指定を目指すなら文化庁と実質的な協議を行うよう求める質問書を提出。質問書は国指定を目指す市が歴史的根拠のない艮櫓計画を進める姿勢を批判し、文化庁の助言を仰ぐよう求めている。また、艮櫓建設計画を撤回して杜の都にふさわしい歴史公園を検討するよう提案。国史跡の部分指定を目指すか、仙台市の史跡に指定するよう求めた。
03月28日 開府四百年記念事業の一環として仙台市や仙台開府四百年記念事業推進協議会が4月7日に開催する「みんなで積み上げる仙台城の石垣セレモニー」の開催を知らせる記事が河北新報に掲載。
03月28日 仙台開府四百年記念事業の一環として藩制時代の旧町名の活用を検討していた仙台市の「歴史的町名等活用推進委員会」(委員長・大村虔一東北大学大学院教授)が、歴史的町名を総合的にまちづくりに活用するため市民、行政、事業者が協働で取り組むとともに、市民主体の「仙台城下町倶楽部(仮称)」を発足させることなどを柱とする最終提言を藤井黎市長に提出。委員会は2000年6月に発足し、2001年3月には1次提言として、市中心部の83路線の通称として旧町名を用いることを提唱した。最終提言は重点的に実施すべき活用策として、バス停名称への活用や市民イベントの開催などを求めている。
03月29日 河北新報「論壇」に菊池勇夫宮城学院女子大教授(日本近世史)の投稿「仙台城跡の整備 再考を/艮櫓建設にこだわるな」掲載。
03月30日 仙台の街づくりの歴史を漫画で紹介する小冊子「仙台藩祖・伊達政宗 LIFE DIGEST」を小松島まちづくりの会(平田良支代表)が発行したと河北新報が報道。制作はイラストレーターで貸本店経営の阿部一彦さん。A5判、50ページで「政宗の生涯」「領国経営」の二部構成。5000部発行し、1部200円。問い合わせは阿部さん経営の「レンタルコミックJUNGLE」022-275-9514へ。
04月01日 TBS系月曜ミステリー劇場「早乙女千春の添乗報告書(12)―仙台松島湯けむりツアー殺人事件」が、4月1日午後9時から放送される。3月中旬に主演の名取裕子らが仙台市の仙台城跡や秋保温泉、宮城県松島町などでロケを行った。
04月04日 河北新報「声の交差点」に当サイト管理人の投稿「見識疑う式典 市の姿勢象徴」掲載。市長は石垣の石に、市民はそのすき間を埋める裏込め石に記名するという4月7日の「みんなで積み上げる仙台城の石垣セレモ二ー」に対し、「一体誰のお祝いなのか」と問い正す。
04月07日 仙台城石垣修復現場で仙台開府四百年記念「みんなで積み上げる仙台城の石垣セレモニー」開催。
05月20日 19日までに仙台城跡の国史跡指定(部分指定)が内定したことを受け、仙台市長が本丸跡における艮櫓建設計画の全面撤回を表明。これにより、歴史的な事実関係に基づかない櫓の建設とこれに伴う旧石垣遺構の破壊は回避された。
05月28日 河北新報「声の交差点」に本サイト管理人の投稿「文化財保存へ官民が議論を」掲載。研究者と市民が一体となって展開した文化財保存運動が、仙台城跡の国史跡指定と艮櫓建設計画の全面撤回への流れを作ったことを総括。市内の文化財の保存と活用について官民が議論をする場の整備を求めた。
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