MIYAGI ARCHAEOLOGY INFORMATION Vol.27 2002.7.20



多賀城市 市川橋(いちかわばし)遺跡(現地説明会:2001.06.02)

 市川橋遺跡は奈良・平安時代の陸奥国府多賀城の南から西にかけての自然堤防上に広がる遺跡で、これまでの発掘調査で古墳時代の集落跡、奈良・平安時代の道路跡や建物跡などが見つかっている。
 今回の名古曾川遊水地の造成工事に先立つ宮城県教育委員会の発掘調査では、これまで発掘例が少なかった多賀城跡西門の外側が調査された。この結果、竪穴建物跡を中心とする古墳時代後期と奈良時代の集落跡が発見された。奈良時代の集落跡は溝で囲まれており、砂押川を挟んだ多賀城跡南側と同様の集落が広がっていたことが明らかとなった。
 平安時代の遺構は土器埋設遺構4基と溝跡のみで、9〜10世紀前半頃に多賀城跡南側に展開される大規模な町並みは多賀城跡西側までは広がっていなかったことが明らかとなった。