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見識疑う式典 市の姿勢象徴


 仙台市が七日に仙台開府四百年記念事業の一環として開催する「みんなで積み上げる仙台城の石垣セレモ二ー」は、参加者が石垣の裏に詰め込む裏込め石にメツセージを書いて、積み上げる。さらに藤井黎市長が、2000年10月の石積み開始式の際に記名した修復記念石を石垣に積み上げるというものである。
 つまり、市長は石垣の石に、市民はそのすき間を埋める裏込め石にということである。仙台開府四百年記念事業とは、一体誰のお祝いなのか。参加者全員が石垣の石に記名することができなければ、市長も市民とともに裏込め石に記名すべきである。
 市民感情におまりにもむとんちゃくではないか。むしろ、率先して裏込め石となって、市民生活を支えるべきは市長のはずである。仙台市当局と市長の見識を疑わざるを得ない。
 市当局の市民に対する認識、現在の藤井市政のあり方を象徴しているように感じるのは、果たして私だけであろうか。
2002.04.04河北新報「声の交差点」掲載
 
 上記の投書に対し、仙台市当局の回答が掲載されました。通常、この種の回答は1〜2週間程度で掲載されている場合が多いようですが、今回は筆者の投書が掲載されてから一月半を経ています。また藤井市長が艮櫓の建設断念を表明した翌日、紙面が仙台城関連の記事で埋められる中というタイミングでの回答は、「市民協働」の市政運営のイメージ作りにも見えます。事実、「回答」したというのは形ばかりで、筆者の指摘に対する答えになっていないことは見ての通りです。石垣の石材について「役割に軽重はない」との認識を示していますが、石垣修復事業では裏込め石の役割を軽視した工法が歴史学者らによって強く批判されてきました。また石垣の石が「数に限りがある」ことは市長が記名した当時にも把握されており、あらかじめ「市長も市民とともに裏込め石に記名する」ことは可能だったはずなのです。仙台市当局が繰り返す一貫性のない、いい加減な態度から、「事なかれ主義」「その場しのぎ」的な体質がますます目につく昨今です。
 

回答 市民とともに進める記念事業への理解を

 4月4日付「見識疑う式典 市の姿勢象徴」にお答えします。
 先ごろ開催しました「みんなで積み上げる仙台城の石垣セレモニー」は、仙台開府四百年記念事業として、広く市民の皆様に仙台城の石垣修復への理解を深めていただくとともに、後世に伝えることを目的に実施したもので、当日は約400人の市民や歴史ファンに参加いただきました。
 ご指摘の石材への記名の件についてですが、石垣は積み石、押さえ石、裏込め石など、それぞれの石が一体となって、初めて安定した石垣を構築しているものであり、その役割に軽重はないと考えています。
 記名した積み石は文化財保全の観点から新たに購入した石材ですが、数に限りがあることから一人でも多くの市民に記名していただくためには裏込め石がふさわしいと考え、ご指摘のような式典の運営になったものです。
 今後とも、市民協働によるまちづくりを進めていく考えですので、ご理解、ご協力をお願いします。
(仙台市建設局百年の杜推進部青葉山公園整備室長 大橋建男)
2002.05.21河北新報「声の交差点」掲載