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河北新報「声の交差点」「文化財保存へ官民が議論を」

河北新報 5月28日

河北新報「声の交差点」に本サイト管理人の投稿「文化財保存へ官民が議論を」掲載。研究者と市民が一体となって展開した文化財保存運動が、仙台城跡の国史跡指定と艮櫓建設計画の全面撤回への流れを作ったことを総括。市内の文化財の保存と活用について官民が議論をする場の整備を求めた。

文化財保存へ官民が議論を
 仙台城跡の国史跡指定の内定を受ける形で、藤井黎仙台市長が、本丸跡における艮櫓(うしとらやぐら)建設計画の全面撤回を表明した。これによって歴史的な事実関係に基づかない櫓の建設と、これに伴う旧石垣遺構の破壊は回避された。
 これまで再三にわたって 仙台城跡の国史跡指定の推進と艮櫓の建設中止を求めてきた歴史、考古学関係団体からの要請について、市長は「(今回の艮櫓建設中止と)直接的には結びつかない」との見解を示した。
 しかし、市長の思惑がどうであれ、研究者と市民が一体となって展開した文化財保存運動と行政の誤りを正す市民運動とが、市長に艮櫓の建設を断念させたことには疑いの余地がない。艮櫓建設をめぐる一連の問題は、文化財の保護と復兀に対する誤った認識が招いた仙台市の判断ミスだ。
 仙台市にはこれまでの経緯の説明と、この間題に対する真しな総括が求められると同時に、今後市内の文化財の保存と活用について市民とともに継続的に議論していく場の整備が急がれる。