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上高森遺跡第6次発掘調査に関する新聞報道について



 11月5日付毎日新聞などの報道により既に明らかなように、宮城県築館町の上高森遺跡第6次発掘調査での前期旧石器時代の石器発掘捏造事件に関しましては、日本考古学史上未曾有の大事件であり、宮城県内の考古学情報を発信してきた立場としても、また同遺跡の調査に参加してきた学生の一人としても大変残念なことであります。
 今回の事件が日本の考古学界、そして日本社会に与えた影響は計り知れないものがあります。日本社会においては考古学そのものに対する信用が揺らぎ、また考古学界においては宮城県を中心とする多くの研究者が30年にわたって積み上げてきた前期・中期旧石器研究のすべてに懐疑的な目を向けようとする人たちもいます。今後は当該遺跡の再発掘調査を早期に行い、誰もが納得できる結果を一つ一つ積み上げていくことで考古学の信頼回復に努めていくことが必要と考えます。
 当サイトはあくまで管理人個人の責任において運営されているものであり、公的なサイトではありません。当サイトの掲示板及びe-mailなどにも読者の皆様からさまざまな御意見、御感想を頂戴しておりますが、今回の件に関しては大変重大な問題であり、あくまで学生である管理人が公の場で個人的な立場から多くを発言することは、現段階では差し控えたいと考えております。
 また、同遺跡の調査に参加してきた者の一人と致しましても、学生として常に全力を尽くして調査に臨んできたのであり、これまでの管理人個人の学生としての行動に恥ずべきところは何もありません。今後も学生一同で力をあわせ、これまで通り地道な努力を重ねていきたいという決意に変わりはありません。
 新聞報道によれば、大島理森文相は「きちっとする方が藤村氏の業績を無駄にしないことになるのだろう」と話し、藤村氏が関係した遺跡の発掘調査の経緯について文化庁に調査させる方針を示しているといいます。
 また、日本考古学協会においても「今回の事件によって疑念の生じた遺跡の検証を含めて前・中期旧石器遺跡の自由闊達な学術的検討が集中的に行われることの必要を認め、特別委員会(前・中期旧石器問題調査検討特別委員会)を組織してこれに当たりたい」との方針を表明し、東北旧石器文化研究所に対しては、今回の事件に関する真摯な総括と真相を明らかにするための資料の公表を求めるとともに、未報告の過去の発掘調査結果についての学術報告書の早急な刊行を求めています。
 上高森遺跡調査団を組織した東北旧石器文化研究所と東北福祉大学でも、発掘調査報告書の早期刊行に努めるとともに、来年春にも第三者に依頼して遺跡の再調査を実施したい意向を示しているとの報道がなされており、当サイトではそうした検証の結果を責任を持ってお伝えしていきます。
 最後に、当サイトはこれまで通りの運営方針に基づき、今後もより適切な情報発信のできる環境を整えていきたいと考えております。何分個人主体でお金や時間などさまざまな制約のある中での運営であり、至らぬ点、不適切な点など多々あろうかとは存じますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


2000.11.09 (2000.12.02一部加筆) 管理人