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仙台市長町駅東遺跡発掘調査
現地説明会:2001.11.17  調査主体:仙台市教育委員会
 
 旧国鉄貨物ヤード内に位置する長町駅東遺跡は、1992年の遺跡確認調査により発見された遺跡で、東側に位置する郡山遺跡や西台畑遺跡と同時期の7世紀〜8世紀の縦穴建物跡や掘立柱建物跡が多数発見されている。
 今回の調査は長町副都心土地区画整理事業の一環としての長町副都心大通り線建設に伴う初年度の調査である。

調査区の遺構配置図。写真は上から調査区北半部の状況、縦穴建物跡の切り合い状況、掘立柱建物跡。遺構が残存していたのは調査区内のごく狭い範囲であったが、きわめて高い密度で遺構が分布しており、建物跡も繰り返し建て替えられていることがわかる。

古代の土師器。左上の高杯には赤彩がみられる。右上は土師器甕、中央下は土師器の小型甕。

古代の遺物。左上から砥石、カマドの支脚と構築材、石製模造品、刀子、土玉、土錘。

古墳時代の石製模造品と土師器壷の破片。江戸時代の漆器と古銭(開元通宝)。

江戸時代の漆器椀。

縄紋・弥生時代の土器とともに出土した石器類。流紋岩製の剥片が多く出土している。市内の広瀬川などに同様の流紋岩が分布している。

まとめ
  • これまで調査されてこなかった長町駅東遺跡でも多数の縦穴建物跡が検出されたことから、郡山遺跡に関連する集落が形成されていたと考えられる。
  • 遺跡東半部では古代のものとみられる水田跡や、近世のものとみられる溝跡や杭列が確認された。
  • 古代の遺構内から土師器などに混じって弥生土器や石器、古墳時代の土師器や石製模造品なども出土しており、周辺に弥生時代や古墳時代の集落が形成されていた可能性がある。
  • 地表下約4mに縄紋土器を包含する層があることがわかった。
参考文献
仙台市教育委員会2001「郡山遺跡・長町駅東遺跡現地説明会資料」