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後期旧石器時代遺跡としての価値を再確認
所在地 遺跡名 現説日 調査主体 更新日
仙台市太白区 山田上ノ台遺跡第3次発掘調査 11/02 仙台市教育委員会 12/15
資料:仙台市教育委員会2002「山田上ノ台遺跡第3次発掘調査(中間報告)現地説明会資料」

現地説明会風景
 山田上ノ台遺跡は昭和55年に第1次、59年に第2次発掘調査が行われたが、1次調査の出土石器の一部に発掘捏造の疑いが生じたことから、遺跡の価値を確認するために第3次発掘調査が実施された。
 1・2次調査区の周囲を新たに発掘した結果、後期旧石器時代の地層から1次調査の2か所の石器集中部の間から10点、2次調査の1か所の石器集中部に隣接して10点など、計23点(10/23現在)の石器が出土した。このことから、山田上ノ台遺跡が縄文時代の遺跡であるとともに、後期旧石器時代の遺跡であることがあらためて確認された。

調査区全景(北西から)。黄線内が1・2次調査区で、緑線内が1・2次調査で後期旧石器が出土した範囲

後期旧石器時代の地層で2次調査の石器の分布(緑線の半円形の範囲)の広がりが確認された部分(北西から)

「3万年前以前」の石器はすべて捏造と断定
所在地 遺跡名 現説日 調査主体 更新日
仙台市太白区 山田上ノ台遺跡第3次発掘調査 - 仙台市教育委員会 12/15
資料:2002.12.03河北新報朝刊「仙台・山田上ノ台遺跡 「中期旧石器」の認定困難 再発掘終了で調査指導委 80年出土中期旧石器 全部ねつ造と断定」
 山田上ノ台遺跡の第3次発掘調査は12月2日に作業が終了した。今回の調査で、後期旧石器時代の地層からはナイフ形石器など計143点が出土した。一方、1次調査で石器が出土した3万年前以前の地層からは、新たな石器の出土はなかった。調査指導委員会(委員長・白石浩之愛知学院大教授)は今回の調査結果や石器の検証結果などから、1次調査で出土し、3万年前以前とされた石器はすべて捏造であったと断定。後期旧石器時代の石器については、不自然な点のみられる石器が1次調査の2か所の石器集中部に限られることを確認し、今回出土した後期旧石器との整合性などから、2か所以外から出土した後期旧石器については、学術資料として使用できるとの結論を出した。