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仙台城本丸南東部の巽櫓の規模が判明
所在地 遺跡名 現説日 調査主体 更新日
仙台市青葉区 仙台城跡発掘調査(本丸巽櫓跡) 07/13 仙台市教育委員会 07/20
資料:仙台市教育委員会2002「仙台城本丸巽櫓跡 現地説明会資料」
 正保3(1646)年までに描かれた「奥州仙台城絵図」で確認される仙台城本丸の4基の三重櫓のうち、南東側に位置する巽櫓跡の発掘調査(国庫補助事業)を5月24日から実施していた仙台市教育委員会は7月13日、調査成果を市民に公開する現地説明会を開催し、約130人が詰め掛けた。

 巽櫓跡の遺構は約半分が崩落していたが、櫓台の石垣の一部とみられる石材約20個が見つかったことから、巽櫓の規模は南北10.2m、東西8.4m以上と推定される。石垣の内側には河原石が敷き詰められ、石垣と平行して礎石(柱の土台)4個が約1.9m間隔で配置されている状況が確認された。
 写真左上の角石から右下に向かって延びる石列が櫓台の石垣で、河原石を敷き詰めた玉石層を挟んで右端に礎石が見える。石垣は自然石を並べた野面積みだが、角石のみに整形する加工が施されている。

 櫓台に隣接して北に7.8m延びる石垣が発見され、絵図との対応から付櫓(脇長屋)の基部とみられる。石垣は西側に面を向けており、北西角(写真左下)の角石には簡単な加工が施されている。

 櫓台の周囲には巽櫓から崩れ落ちたとみられる大量の屋根瓦が集積されていた。軒平瓦では桔梗文、軒丸瓦では三巴文のものが多く出土し、鯱瓦や鬼瓦の破片も数点見つかっている。ほかに砲弾とみられる直径4.2cm、重さ274g(錆落後)の球形の鉄製品2点が出土している。