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石を並べた複式炉のある縄文時代の竪穴住居跡

仙台市 砂押古墳 (古墳時代)
遺跡データ
遺跡名 砂押古墳(すなおしこふん)
所在地 仙台市太白区砂押町
調査主体 仙台市教育委員会
調査原因 住宅建設に伴う事前調査
公開日 2008年7月19日(土) 13:30〜
参考資料 「砂押古墳 遺跡見学会資料」仙台市教育委員会 2008.7.19


発掘された砂押古墳。墳丘の中ほど、水平にやや黒く見える部分が、古墳が作られる前の地面です。
それぞれの土地の歴史を伝えてくれる貴重な遺跡も、現在の私たちの営みによって破壊されてしまうことがあります。

そのようなときには、事前に発掘調査を行なってそこにどのような遺跡が残されていたかを調べ、記録に残します。

名取川沿いの平野を見渡すことができる高台の静かな住宅地。そこに永く眠り続けていた砂押古墳にも開発の手が加わることになり、発掘調査が行なわれました。

発掘調査をしたところ、砂押古墳は墳丘の直径25m、高さ5mで、仙台市内最大級の円墳であることが分かったそうです。墳丘の裾の部分には幅4.5〜5mの平坦な部分(テラス)があり、その外側には幅3.5〜4mの溝(周溝)が巡っていました。

また、墳丘の中ほどで、古墳が作られる前の地面が確認されました。このことから、墳丘の下半分は周囲の土を掘り下げ、上半分はその土をさらに盛り上げて造られたことが分かりました。

墳丘の上からは、二つの埋葬施設が発見されました。一方は板石を組み合わせた箱式石棺(はこしきせっかん)で、古墳の中央に造られていました。もう一方は、河原石を積み上げた礫槨(れきかく)で、やや南寄りに造られていました。

埋葬施設からは副葬品などは発見されませんでしたが、周囲で見つかった土器や埴輪の特徴から、古墳が作られたのは古墳時代中期後半から後期初め頃(5世紀後半から6世紀前半:今から約1,500年前)であることが分かったそうです。

遺跡見学会の様子

遺跡見学会の様子

古墳の一部には戦時中に防空壕が掘られていました。

古墳の墳丘の中央部で見つかった箱式石棺(はこしきせっかん)。板状の平らな石を箱型に組みあわせて造られた棺です。

墳丘の中央部やや南寄りで見つかった礫槨(れきかく)。木棺を納めるための施設で、河原石を積み上げて造られています。

出土した埴輪。埴輪や土器などから、砂押古墳が作られた年代が分かりました。

遺跡見学会の様子
2008.8.4更新(写真提供:山戸和美さん)