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政庁創建時の石垣を発見−大規模な土木工事を裏付け

仙台市 鴻ノ巣遺跡(古墳時代)
遺跡データ
遺跡名 鴻ノ巣遺跡(こうのすいせき)
所在地 仙台市宮城野区岩切字鴻ノ巣
調査主体 仙台市教育委員会
調査原因 七北田川河川改修事業に先立つ事前調査
公開日 2008年11月8日(土) 14:00〜
参考資料 「鴻ノ巣遺跡第9次調査 遺跡見学会資料」
仙台市教育委員会 2008.11.8


遺跡見学会の様子。写真左手のフェンスの裏側を七北田川が流れています。
鴻ノ巣遺跡は、仙台平野の北の端を流れる七北田川沿いに残された古墳時代中期(約1500年前)の大きな集落の跡です。

今回の発掘調査では、1辺が7mを超える大型の竪穴住居跡が発見されました。住居の北側にはカマドが作られていて、住居の中にはたくさんの土器が残されていました。焼けて炭化した木材が多く見つかっているので、この住居は火災にあって焼け落ちたか、使われなくなった後に意図的に燃やされた可能性があるそうです。

当時の一般的な竪穴住居跡は1辺が4〜5m程度の大きさなので、今回見つかった一辺7mの大型竪穴住居跡は集落の中で中心的な役割を持った人が暮らしていたのかもしれません。

発掘調査ではこのほかに、古墳時代中期(約1400年前)の竪穴住居跡や掘立柱建物跡、墓の跡、平安時代の竪穴住居跡や掘立柱建物跡などが見つかりました。これまでの調査では、鎌倉時代の屋敷の跡なども見つかっています。

一帯は、鎌倉時代には街道が通り、市が開かれ、交通や流通の要衝として栄えたところです。そして古墳時代中期の集落跡からは、北海道系の土器などが出土し、古くから広い地域との交流の拠点だったことが窺われます。

1辺が7mを超える大型の竪穴住居跡。

カマドとその周りの様子。たくさんの土器が出土しています。黒く細長いものは焼け落ちて炭になった木材です。

カマドの様子。ドーム型をしたものですが、上半分は残っていません。火を燃やした部分の床が赤く変色しています。
2009.5.31更新