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江戸時代の掘立柱建物跡などを確認

色麻町 日の出山窯跡群(奈良時代)

遺跡データ
遺跡名 日の出山窯跡群(ひのでやまかまあとぐん) F地点
主な時代 奈良時代
主な遺構 瓦窯跡、竪穴住居跡(工房・居住施設)、平場跡、粘土採掘坑
主な遺物 須恵器、瓦(多賀城創建期頃、西暦724年前後)など
所在地 加美郡色麻町大字堰堀
調査主体 宮城県多賀城跡調査研究所
調査原因 多賀城創建期窯跡群の解明を目的とした学術調査(第8次5ヵ年計画)
公開日 2009年7月11日(土) 10:30〜
参考資料 「日の出山窯跡群−第2次発掘調査現地説明会資料−」
宮城県多賀城跡調査研究所

日の出山窯跡群は、奈良時代の初め(724年)に創建された陸奥国府・多賀城で使われた瓦や須恵器を生産したところです。

昨年度から発掘調査を行なっている日の出山窯跡群のF地点では、工房跡とみられる竪穴住居跡2軒などが発見されています。今回は、F地点の昨年度調査した場所の北側を発掘調査しました。

昨年度調査した場所では窯跡が発見されませんでしたが、今回調査した場所では、窯跡3基、竪穴住居跡3軒、平場跡1か所、粘土採掘坑1か所が発見されました。

窯跡は須恵器を焼いたものが1基、瓦を焼いたものが2基発見されました。斜面をトンネル状に掘り抜いてつくられた「地下式窖窯(あながま)」という構造です。一部を掘り下げて調査したところ、天井は崩れ落ちていましたが、とても保存状態が良いことが確認されました。

窯跡の近くでは、材料となる粘土を掘り出した穴(粘土採掘坑)や、地面を切り盛りしてつくられた平地(平場、作業場)、工房だったと推定される竪穴住居跡などが発見されました。

窯跡だけでなく、粘土採掘坑や平場、工房跡などがセットで発見された例は少なく、当時の窯場の全体像を知ることができる貴重な発見だそうです。材料の粘土の採掘から製品の製作、そして焼成までをこの場所で一貫して行なっていたことがわかります。

現地説明会の様子
須恵器を焼いた窯跡
須恵器を焼いた窯跡。長さ8mの細長い形で、トンネルのようになっていました。
窯跡の天井は崩れて埋まっていましたが、煙突状の部分が崩れずに残っていました。 瓦を焼いた窯跡の一部を掘り下げて調査しています。平瓦が出土しています。
粘土採掘坑と、それを埋めて整地した平場(写真奥)と、竪穴住居跡(写真手前)。竪穴住居跡の床面では粘土の塊が出土しました。工房だったと推定されるそうです。 現地説明会の様子。考古学を勉強している学生さんも見学に訪れ、調査担当者の方に奈良時代の瓦づくりについて質問したりしていました。
出土した遺物(須恵器) 出土した遺物(瓦)
2010.2.23更新