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大木囲貝塚
だいぎがこいかいづか
宮城郡七ヶ浜町


大木囲貝塚から北に松島湾を臨む
宮城県には325か所(うち縄文時代211か所)の貝塚が分布し、関東地方に次ぐ全国有数の貝塚密集地帯となっている。

松島湾沿岸は県内でも特に貝塚が密集する地域で、大規模な貝塚も多く分布している。

大木囲貝塚は松島湾を代表する大規模な貝塚のひとつで、松島湾東南部(塩釜湾)に突き出た七ヶ浜半島基部の舌状台地に立地している。

遺跡の面積は東西約450m、南北約600mに及び、数軒の住居などがつくられた台地の平坦部を取り囲むように貝層が広く分布する。

貝層の多くは標高28〜38mの等高線沿いに分布するが、北斜面では湧水地の周辺まで小貝層が点在している。

貝層部分の地表面には、現在でも貝殻や土器片などの散布を見ることができる。

1927(昭和2)年から1929(昭和4)年までの間に大木囲貝塚の7地点で分層発掘を行った東北大学の山内清男氏は、大木1、2a、2b、3、4、5、6、7a、7b、8a、8b、9、10式の13の土器型式を設定し、東北地方南部の縄文時代前期から中期にかけての土器編年に成功した。大木1式から6式が前期、7a式以降が中期に属する。

遺跡は昭和43年に国史跡に指定され、現在は史跡公園として整備されている。

遺跡の隣接地には七ヶ浜町歴史資料館がある。大木囲貝塚の出土品が多数展示され、縄文時代の松島湾での生活の様子や大木式土器の移り変わりを知ることができる。

史跡公園として整備された大木囲貝塚

遺跡内の貝層と住居跡の分布

貝層部分の地表面

七ヶ浜町歴史資料館の外観
撮影:021116
参考資料:東北歴史資料館1989「宮城県の貝塚」東北歴史資料館資料集25