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南境貝塚 みなみざかいかいづか
石巻市南境


遺跡付近の路傍に立つ道標
北上川東岸の丘陵に立地する南境貝塚は、現在の石巻市と河北町の境界にある。

大正時代から発掘が行なわれ、縄文時代早期から晩期にかけての土器や石器、骨角器などが出土している。その一部は、石巻市文化センターに展示されている。

昭和40年代に開田工事が行われ、遺跡の主要部分は破壊されてしまった。このときの緊急調査では膨大な量の遺物が出土したという。

特に縄文時代後期はじめ頃の遺物が多く出土し、この時期に使われた土器の特徴が明らかになった。

遺跡は工事によって大規模に削り取られ、段状に造成された。斜面には現在でも多量の貝殻が散布している様子を観察することができる。

造成された水田は、後継者不足のためか、減反政策のためか、現在では耕作されていない場所もある。

今ならば残すことができた遺跡かも知れない。数千年の時を越えて地域に息づいてきた遺跡を破壊する現代の私たちの事情は、かくも一時に変化するものなのだ。

丘陵の頂部に立つ標柱

段状に造成された遺跡の近景

斜面に散布する多量の貝殻
撮影:20050403