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西ノ浜貝塚 にしのはまかいづか
宮城郡松島町


西ノ浜貝塚の標柱と説明版
西ノ浜貝塚は、松島湾の西北部に突き出す台地の裾を取り巻くように形成された縄文時代の貝塚である。

周辺は一時急速に宅地化が進行したが、現在は国史跡に指定され、住宅地を縫うように史跡公園が整備されている。

史跡公園では、現在のカキ殻を用いて貝層の範囲を表示している。

台地の上部にあった生活の場から下方に向かって貝殻や土器が廃棄され、貝塚が形成されたことがよく分かる。

また、浜辺に近い場所では弥生時代〜平安時代に塩作りが行なわれ、製塩土器片が散布している。

縄文時代の土器は前期から晩期にかけてのものが断続的に出土している。

西ノ浜貝塚は、七ヶ浜町大木囲貝塚、鳴瀬町里浜貝塚とともに、縄文時代の松島湾周辺地域において中核的な役割を果たしたと考えられる。

これら3か所の大貝塚が、直線距離で4Km前後の間隔を保っていることも、当時の集団の規模や活動領域を考える上で興味深い。

静かな住宅街の間からは、松島湾が見渡せる。当時は眺望が開け、七ヶ浜半島や宮戸島も遠望できただろう。

史跡公園として整備された西ノ浜貝塚

貝層部分の地表面に散布する土器片

西ノ浜貝塚から南に松島湾を望む
撮影:20050403