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沼津貝塚 ぬまづかいづか
石巻市沼津


沼津貝塚の近景(南から)
現在の石巻市の一帯は、かつて海が深く入り込んでいた。

西に開口していた古稲井湾の奥、現在の万石浦の北側にある沼津貝塚は、縄文時代に形成された大規模な貝塚だ。

現在は水田地帯の中を東から西に半島状に延びる丘の上にあり、北側と南側の斜面に大規模な貝層が形成されている。

明治時代から発掘が行なわれ、縄文時代前期から晩期にかけての多数の土器・石器・骨角器や食料残滓などが出土した。

骨角製の装身具などは国の重要文化財に、遺跡は国の史跡に指定されている。出土品の一部は、石巻市文化センターに展示されている。

貝層に含まれる貝は、時期によって鹹水産のアサリ・ハマグリから淡水産のシジミへと変化していることが分かっている。

貝塚は、遺跡が形成された当時の周辺の自然環境を窺い知るさまざまな情報を持っている。

遺跡の主要部分は公有地化され、現在は保存が図られている。かつては畑地一面に真っ白に貝殻が散布する状況が見られたが、現在は草地となっている。

周囲の畑地には現在も貝殻や土器片が散布しているのを観察することができる。

標柱と説明板

保存が図られている沼津貝塚

周囲の畑地に見られる土器片と貝殻の散布
撮影:20050403