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シンポジウム「仙台城石垣の保存について」

1月30日 仙台郷土研究会

 仙台市が進める仙台城跡の石垣解体修復工事と艮櫓復元計画に伴う発掘調査で、これまで知られていなかった三時期にわたる石垣の変遷が明らかになり、この石垣の保存・活用方法をめぐって活発に議論が交わされている。
 仙台市が仙台城本丸跡で進める予定の艮櫓建設計画では、築城期の石垣が破壊される事実が指摘されたため、仙台郷土研究会など在仙の史学研究六団体が石垣の保存を市に要望。これに対し市は、建設予定地は変更しないが、遺構を壊さない形で建設を進めるための技術的な検討をはじめており、櫓建設と遺構保存の両立を図る意向を示している。
 そうした中、石垣の歴史的価値を知ってもらおうと、仙台郷土研究会(会長渡辺信夫東北大名誉教授)が1月30日に開催したシンポジウム「仙台城石垣の保存について」には会場を埋め尽くす三百人余りの市民が詰め掛けた。そこには市民の関心の高さと遺跡の保存問題を他人事と思わず、自分たちに課せられた課題として受け止める姿勢が窺えた。シンポジウムでは一連の事業をめぐる問題点が改めて浮き彫りとなり、さまざまな意見が交わされた。
 惜しむらくは、今回のシンポジウムのパネラーに市側の参加が得られていない点である。一日も早く仙台市によって市側と学識経験者、さらには市民をも交えた開かれた議論の場が設けられてしかるべきであろう。そこから、市民県民の文化遺産のあるべき姿が見えてくるはずである。