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復元の全体像不透明なまま 第2期石垣の解体工事に着手

仙台市青葉区仙台城本丸跡―仙台市教育委員会3月30日―

 老朽化した石垣の解体修理事業に伴う解体工事が進む仙台城本丸跡で、発掘調査で見つかった2種類の石垣のうち、元和2年(1616年)から寛文8年ごろに築造された第2期の石垣の解体作業が始まった。
 仙台市の艮櫓復元計画で、復元位置や工法によっては古い石垣の一部が破壊される恐れも指摘されているが、櫓復元の具体像が決まらないまま解体工事が着手された。 解体が始まったのは、発掘調査によって北東側の地表に露出している第2期の石垣。初日は1トンを超える石など10個が取り外された。
 一帯は仙台藩祖伊達政宗の築城期の石垣(第1期)と第2期の石垣、現存の石垣(第3期)が近接して見つかった場所で、艮櫓の復元予定地。仙台市は観光的価値を重視して、市街地から見える仙台城本丸の北東角に櫓を復元する計画で、これにより第1期、第2期の石垣が破壊されることが明らかとなった。これを受け、1月に仙台郷土研究会など在仙の史学研究六団体が石垣の保存を市に要望。仙台市では文化財ついては最大限に保護していくと表明しているが、古い石垣をどのように保存していくのかはまだ決まっていない。さらに、艮櫓の位置がこれまで考えられていた本丸北東角ではなかったことが解体修理事業に伴う一連の発掘調査によって明らかとなり、史実と異なる復元事業に強い疑問の声が出されている。1月30日には仙台郷土研究会が「仙台城石垣の保存について」と題するシンポジウムを開催し、300人余りの市民が駆けつけた。