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発掘調査データのデジタル処理
―石垣調査で成果―

 7月29日付河北新報[県内版]の「発掘情報デジタル化/リアルタイムで処理」によれば、仙台城本丸跡の石垣修復工事に伴う発掘調査で、仙台市教委が導入した発掘データのデジタル処理が、成果を挙げている。全国的に見ても最先端の記録方法。調査期間が限られる中で、効率的な調査をしようと市教委が独自に編み出した。市教委は「短時間に安いコストで、正確に分かりやすく記録できる。今後、他の調査でも応用していきたい」と話している。
 デジタル処理には、一般的な測量機材のほか、市販のデジタルカメラとCAD(コンピューター設計)ソフト、画像処理ソフトを活用している。
 工事の進行に伴い、石垣や土砂が掘り下げられる状況を撮影していき、画像データをパソコンに入力。データを張り合わせてゆがみを補正し、石垣断面の全体像が1枚で分かるように加工する。
 専門業者に精密な記録を委託する場合、コストは数千万円に上り、記録図面ができるまで1ヶ月間ほどかかる。しかし、市教委のデジタル処理方式は数十万円の出費で済み、データ処理もほぼリアルタイムでできるなど大幅な時間短縮が可能になった。
 奥行きのある立体画像を作ることができ、石垣と内部構造の色や形などをビジュアルに表示。専門家でなくても一目で全体の構造が分かるようになる。
 このため、新たな発掘成果があった場合の分析も容易になり、市民に対する分かりやすく迅速な情報提供にも役立っているという。
 市教委は「データのデジタル化は、教育用教材への応用もしやすくなるなどのメリットがある。今後も市民に対し、的確で分かりやすい情報を提供できるよう努めていきたい」と話している。
[河北新報 2000年07月29日]