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石垣修復と櫓の早期建設要望を確認
―櫓は計画どおり現存石垣の北東角に―

仙台商工会議所仙台城復元委員会 8月3日

 仙台商工会議所の「仙台城復元委員会」(委員長・村松巌会頭)が8月3日に開かれ、仙台市が進める仙台城本丸への艮櫓復元事業に関し、現存石垣の北東角への早期建設を求めて、藤井黎仙台市長に要望することを確認した。修復工事で解体された石を積み直す「石積み」開始に合わせ、各種イベントを実施することも決めた。
 8月4日付河北新報によれば、復元委員会では委員から「(解体修復工事に伴う)発掘で古い石垣が出て問題になっている。新しい視点でもう一度、商工会議所の復元基本計画を見直してもいいのではないか」等の意見が出されたが、村松委員長は「石垣修復と櫓の建設が仙台城復元の第一歩であり、当面はこれを急いでもらう」と述べ、当初の計画どおりに進めたい考えを示した。
 石垣の解体修復工事に伴う本丸跡北東部の発掘調査では、現存石垣(第3期)の内側に仙台藩祖伊達政宗の築城期の石垣(第1期)と第2期の石垣が見つかった。計画では観光的価値を重視して、市街地から見える仙台城本丸の北東角に櫓を復元する計画で、これにより第1期、第2期の石垣が破壊されることが明らかとなった。さらに、艮櫓の位置がこれまで考えられていた現存石垣の北東角ではなかったことが解体修理事業に伴う一連の発掘調査によって明らかとなり、史実と異なる復元事業に強い疑問の声が出されている。
 築城期の第1期石垣については仙台市建設局が最大限に保存する意向を示しているが、第2期の石垣については安全性の問題から一部移設なども考えているという。櫓の復元位置については結論が出ていない。
 8月2日に仙台市が開いた「仙台城跡石垣修復等調査検討委員会」での「櫓の位置」をめぐる議論を受け、復元委員会でも「国史跡指定の可能性をこの時代で止めていいのか」「現存石垣を復元するなら、櫓も現存石垣の上だ」などと議論も交わされた。
 石積み開始に伴う事業は、プレイベントと開始イベントの二本立てで、9月3日のプレイベントは商店街などで石垣の石を題材にしたスタンプラリーや石引き再現などを企画。フォーラムなどの関連事業も行う予定。