宮城考古学情報仙台城跡関連情報>仙台城跡をめぐる主な動き>2000
 

藤井市長、「第三の選択肢の可能性」明言

仙台市議会決算等審査特別委員会 9月27日

 仙台市議会9月定例議会の仙台市議会決算等審査特別委員会で藤井市長は、艮櫓の再建位置について結論は10月としながらも「第3期石垣上」と「第2期石垣上」の選択肢に加え、「(造らないという)第三の選択肢もありえる」と初めて明言した。
 仙台城の艮櫓再建をめぐっては、観光価値を重視した経済界の「3期石垣上」とする意見と史実に忠実な復元を主張する歴史学界の「2期石垣上」とする意見とが対立している。9月16日に仙台郷土研究会が開いた仙台城跡緊急討論会では、「政宗の石垣を傷つけるのなら艮櫓は要らない」という意見も出ていた。
 木村勝好市議(民主フォーラム)ら3人の市議の質問に、仙台市はこれまでの見解を一転させ、「できるだけ史実に忠実に復元する」という見解を「設計図などが残っていないため、どう艮櫓を造ってもレプリカの域をでない」と改め、「国の史跡指定を目指す」という見解についても市は仙台城跡地の一部しか所有していないため、「部分的な国の史跡指定は例がなく、史跡指定は難しい」と述べた。
 質問には艮櫓復元を進める経済局、文化財調査を担当する市教委、石垣修復工事に携わる建設局が代わる代わる答弁。「古い石垣への影響は最小限にとどめる」「石垣しかない仙台城に対し、物足りないとの声もある」などと懸命に説明。また、当初13億円と見込まれていた復元費用が約20億円ほどに膨れ上がることや、現在約200万人が訪れている仙台城の観光客数についても、「艮櫓ができても、250万人になるとは考えにくい」などと発言した。
 市議の間から「それならば、(艮櫓は)いらないじゃないか」という不満の声があがると、藤井市長は艮櫓の位置決定について、「三つ目の選択もありえる」と発言。木村市議の「三つ目は何か」との質問にも「造らないという選択」と明言すると、議場が一瞬どよめいたという。
 相次ぐ新発見で石垣修復工事は予定より15か月遅れており、艮櫓復元の問題について藤井市長は「十月中には決断しなければならない」と答弁した。
[河北新報 2000年9月28日][朝日新聞 2000年9月28日]