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藤井市長、「レプリカ」発言を撤回
―国史跡指定は「部分指定の可能性探る」―

仙台市議会決算等審査特別委員会 9月29日

 仙台市議会9月定例議会の決算等審査特別委員会で藤井市長ら市側は、「史料が乏しくどう造ってもレプリカの域を出ない」、「部分所有のままでの国史跡指定は難しい」とした27日の発言をほぼ撤回し、これまで通り「国の史跡指定を目指す」、「レプリカではなく、できる限り史実に近い櫓の再現をする」という発言に改めた。また、計画通り現存石垣の上に建てても工法を工夫することで地中の古い石垣に影響しないとし、仙台市文化財保護審議会が1988年に提出した「石垣の保護を優先し、国の史跡指定を目指す」という答申にも逸脱しないことを改めて強調した。
 市側はこの日、市議の質問に対し、加藤豊経済局長が「先日は言葉が足りなかった」として27日の発言を撤回。「決してレプリカなどという軽いものではない。そこにあっただろう艮櫓を木造で造るものだ」と改めた。
 また、国の史跡指定についても藤井市長は「本丸、二の丸、三の丸を含む仙台城の中には(東北大や護国神社など)恒久的な建築物があり、指定には難しい面もある」としながらも、「部分指定のケースはないが、文化庁にアタックしてみたい」と史跡指定をあきらめないことを明らかにした。
 藤井市長は文化財保護と艮櫓復元の両立について「激しく悩ませる」と話した。質問に立った市議が、文化財保護を主張する歴史学者の中に仙台市史編纂委員が多数いることに触れ、「文化人市長に期待する市民も少なくないが、(市長周辺の)人の石垣が崩れないか」と問い掛けたのに対しては、「市長としてさまざまな意見を総合的に、そして公平に判断しなければならない」と答えたのにとどまった。
 仙台市が復元の基準としている市文化財保護審審議会答申を指摘し「現存の石垣(3期)の上に造られた場合、古い石垣を傷つけ、答申の『石垣の保存を第一とする』という方針と異なるのではないか」とする質問に、谷沢晋都市整備局長は「時間がかかるかも知れないが手掘りで穴を掘り、コンクリートを流し込んでくいを立ち上げていく。3期の上に建てても1期、2期の石垣に影響を及ぼさないで建てることができる」と述べた。
[河北新報 2000年9月30日][朝日新聞 2000年9月29日]