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「仙台城跡 艮櫓復元 私の主張」

河北新報に聞き書き記事 10月8日

 10月8日付河北新報27面(県内版)に「仙台城跡 艮櫓復元 私の主張」が掲載された。史実通り2期石垣上への復元を訴える渡辺信夫東北大学名誉教授(日本近世史)と、見栄えの良い3期石垣上への建設を支持する村松巌仙台商工会議所会頭の二人に対する聞き書き記事。
 渡辺教授は「まずは古い石垣が大切。艮櫓を復元するならば史実に沿う努力が必要」と訴え、村松会頭は「仙台市民の心のよりどころとなる象徴的存在が欲しい」と強調。
 「専門家だけの内向きな議論ではないのか」という質問に渡辺教授は「櫓問題は、市が仙台城をどうするかの試金石。歴史的な価値を認め、大切にするかどうかが問われている。歴史的なものを大切にする時代。行政はきちんとした態度を示す必要がある」と述べている。
 「史実に基づかない復元が国史跡指定に支障をきたすのではないか」という質問に村松会頭は「指定にはそれなりの意味はあるが、指定されれば今後建物を追加するときに支障が出る」と述べる。「なぜ今、シンボルか」という質問には「郷土愛や心の豊かさが求められている時代に、仙台城跡に何もないのが残念という気持ちから。仙台開府四百年のタイミングを逸すると、あと何十年かかるかわからない」と商業界としての焦りをのぞかせた。
[河北新報 2000年10月8日]