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「仙台城跡艮櫓復元事業―意見調整に工夫欠く―」

河北新報 12月17日

 河北新報連載記事「ことしも走りました―2000取材手帳―3」で「仙台城跡艮櫓復元事業―意見調整に工夫欠く―」が掲載された。
 初の本格的発掘調査の結果判明した新事実が市民の関心を高めた経緯を概観し、市幹部は「文化的な分野でこれほど議論になったことは、かつてなかったのでは」と振り返り、郷土史家の逸見英夫氏は「議論をきっかけに、ほんとうは大切にすべきものがほうっておかれていたことに、市民が気付いたのだろう」と話す。
 仙台市が建設位置決定時に仙台城跡を「仙台の原点、市民の精神的支柱」と位置付けたのとは裏腹に、これまで「ほうっておいた」といわれても仕方がない状態で、史跡指定の努力も滞っていたと指摘。
 櫓位置をめぐる二つの主張に共通していたものは「仙台城跡を何とかしたい」「もっと魅力を高められるはず」という思いだったが、最後まで双方が意見を交わす場はなく、それぞれの見解の表明に終始したと振り返る。
 「最終的には一方の意見が通ることになったとしても、市に意見を言い、働き掛けるエネルギーを生かす方法はなかったのか。市がシンポジウムを開いて、双方の一致点や意見が分かれる部分をはっきりさせ、調整を試みるような場面があってもよかったと思う」と問題に対する仙台市の対応の不備を指摘し、「こうした模索こそが、今後のまちづくりの財産となるはずだからだ」と仙台市のまちづくりのあり方に疑問を投げかけている。
[河北新報 2000年12月17日]