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石積み工事が伝統工法から逸脱

河北新報 2月7日

 進行中の石積み工事について、伝統工法から逸脱したものであると歴史研究者らが指摘している。破損した石材に替えて補充している中国産の新補材の形状が旧材とは大きく異なることや、新補材を積む際に旧材を削っていることなどが明らかとなり、現在の工法では仙台城石垣の文化財的価値が大きく損なわれるばかりか、石垣自体の強度や安定性への影響も懸念される。
 石積み工事では2段分の途中にあたる62石を積んだ。下段は圧力によって破損していた石材が多いため、新補材は6割程度を占めるという。歴史研究者らが問題視しているのは、「江戸時代の旧材の上に新補材を積む際に旧材を削っている」「旧材は四角錘形だが新補材は直方体のまま積まれており、長さや形が大きく異なるため、構造的に弱くなる可能性がある」の二点。
 奈良県橿原考古学研究所の北垣聡一郎研究員は「(旧材を)削るのは問題外。異なる(形状の)石を使うのは、本来ない方法」と指摘。この点について仙台市建設局は「石垣表面が膨らむ「はらみ」を修正する際、旧材の上面の奥を数センチ削っている。止むを得ない加工で、コンピュータ解析の結果ではむしろ安定する」としている。
 新谷洋二東京大学名誉教授(工学)は「伝統工法は複雑で、力学的解明は出来ない。問題は地盤や裏に詰める石なども含めたトータルの強度だ」としながらも「石垣は三百年以上ももった。同じような工法で、同じような石を使うのがいい」と話している。
[河北新報 2001年2月7日]