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仙台城跡関連情報

仙台城跡をめぐる主な動き‐2001年‐

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01月 仙台市の「新しい杜の都づくり」青葉区協議会」の「仙台の昔を伝える紙芝居づくり・上演実行委員会」が開府四百年を記念し仙台の歴史や風土をテーマにしたオリジナルの紙芝居を募集。入賞作品は市民有志がさまざまな機会に上演する。応募締め切りは2月28日、発表と表彰式は3月に行われる。
01月 仙台市が仙台市文化財パンフレット第43集「仙台城本丸跡の発掘」の改訂版を発刊。2000年5月の初版3000部がほぼ売り切れたため、写真図版を最新のものに差し替えた3000部を発売した。A4版オールカラー32ページ。1部400円。市役所1階の市政情報センター(022-214-1239)、若林区・太白区文化センターで頒布。
01月22日 仙台開府四百年をPRしようと仙台市交通局が市内の路線バスや地下鉄で利用できる記念カード乗車券を発売。仙台藩祖・伊達政宗をイメージした仙台開府四百年記念事業推進協議会が作製したポスターと同じデザイン。種類は1000円のスキップカード(乗り継ぎ割り引きあり)。17000枚を地下鉄各駅の自動券売機や定期券発売所などで販売する。

01月15日
渡辺信夫東北大学名誉教授が死去。江戸時代の海運や陸上交通などの商品流通史、交通史に関する研究を中心に日本近世史研究の第一線で活躍した。艮櫓復元問題では史実に忠実な復元を求めて歴史学者らの先頭に立って発言した。全国有数の会員数を誇る民間の歴史研究グループ「仙台郷土研究会」の会長を務め、1991年には仙台市史編纂委員会専門委員会の委員長に就任した。
01月27日 仙台の街づくりについて考える市民団体「美しい仙台を創る会」(関敏ひこ代表)の呼びかけで、「青葉城石垣の見学会」開催。「美しい仙台を創る会」は、失われていく大切な仙台の歴史を残していこうとする「良覚院丁庭園を守る会」が昨年11月、生活環境・歴史・住み手を大切にする街つくりを考えようと発足させた。
01月30日 市民団体「美しい仙台を創る会」は仙台城本丸跡の石垣修復工事と艮復元原事業について、史実に基づいた復元などを求める申し入れ書を藤井市長あてに提出。27日の現地見学会の際、約60名の参加者がアピールとして採択。解体前と同じ工法で石垣を積むことと、史実と異なる現存石垣の北東角への艮櫓建設はいったん凍結し、市民の意見を聞いた上であらためて建設計画を決めることを求める。
02月01日 仙台市は仙台開府四百年記念事業の一環として2001年11月中旬の3日間、仙台国際センターを会場に「環境国際会議(仮称)」を開催する方針を決める。環境都市づくりをテーマに交流してきたフィンランド・ヘルシンキ市や国際姉妹都市などの参加を軸とする。10月に仙台市内で地球温暖化対策などについて発表が行われる「国際二酸化炭素学会」とも連携。節目の年にこれまで続けてきた国際交流という「歴史」と将来の地球環境問題という「未来」を結びつけ、環境先進都市を目指す姿勢をアピールする。
02月05日 仙台市議会の総務財政委員協議会が開かれ、仙台開府四百年記念事業について、市と仙台商工会議所などで組織する記念事業推進委員会と市単独の2001年度事業案が市から示される。
02月07日 進行中の石積み工事について、伝統工法から逸脱したものであると歴史研究者らが指摘。破損した石材に替えて補充している新補材の形状が旧材とは大きく異なることや、新補材を積む際に旧材を削っていることなどが明らかとなり、現在の工法では仙台城石垣の文化財的価値が大きく損なわれるばかりか、石垣自体の強度や安定性への影響も懸念。
2月7日 日本考古学協会は藤井市長が2000年11月に発表した艮櫓復元事業に関する決定を受け、史実に基づいた櫓の復元や古い石垣の保存、仙台城跡全体の総合的な調査を求める要望書を藤井市長宛に郵送。
02月08日 仙台城の石垣を守る会(代表世話人・平川新東北大学教授)が藤井黎仙台市長に対して「仙台城本丸の石垣修復に関する要望書」を提出。石積み工事について工法の見直しや専門組織の設置を求める。
02月12日 2001年2月13日、仙台藩祖・伊達政宗が仙台に城下町を開いて四百周年となるのを記念し、仙台市と仙台商工会議所などで組織する記念事業推進委員会が「仙台開府四百年」を祝うオープニングイベント開催。青葉区勾当台公園市民広場で藤井市長が「まち開き」宣言をした後、寸劇風の「城下町割り再現」などが行われる。
02月 仙台市教委がパンフレット「仙台城下絵図の魅力 杜の都のうつりかわり」を刊行し、一部500円で販売。仙台開府四百年記念事業の一環で、昨年4月に江戸時代の絵図や台帳を市有形文化財に指定したのを機に作製。A4判、カラー40ページ。市指定有形文化財となった城下絵図16点のうち主な12点を掲載。絵図の役割や特徴の解説、絵図から見た仙台城下の移り変わり、現在の仙台との対比の3部構成になっている。3000部を印刷し、市役所1階の市政情報センターと若林、太白両区の文化センターで販売。
02月19日 市民団体「美しい仙台を創る会」は、仙台市が進める石垣修復工事についての質問と、同会が3月10日に開催する市民集会での市による説明を求める要望書を藤井市長あてに提出。
02月23日 仙台城本丸跡の石垣の素晴らしさを子供たちにも知ってもらおうと、加藤ゆかりさんが小学生向けの「石垣新聞」を発行していると河北新報が報道。近く英語版も作る予定で、青葉区の市民活動サポートセンターなどで無料配布している。A4判、1ページで、1カ月に2回ほど発行していく予定。問い合わせはishigakiyukari@yahoo.co.jp
03月08日 「美しい仙台を創る会」(関敏ひこ代表)が仙台市役所で記者会見し、2月下旬に出した仙台城本丸跡の石垣修復工事に関する質問書に対し、市が示した回答書を公表。この中で市は2001年度、仙台城跡の学術調査に着手する考えを示した。回答書は一部の専門家から批判が出ている石垣の石積み工法について、工法を説明する断面図も添付。創る会は「図面から、石垣の裏側にセメント系固化材を使う構想が明らかになった。伝統工法と言えないずさんな工事」と主張しており、3月10日に仙台市民会館で開く集会で、回答書の問題点を報告する。
3月10日 「美しい仙台を創る会」が仙台市青葉区の市民会館小ホール「政宗公の石垣を守ろう−市民の集い−」を開催し、200名を超える市民が参加。専門家による勉強会のほか、問題を分かりやすく扱った腹話術や演劇などを繰り広げる。自由討論では会場の市民から署名運動や住民訴訟の提案が出される。
03月21日 仙台城本丸跡の石垣修復工事と艮櫓復元事業に関し、文化財保存全国協議会(代表委員・田中義昭元島根大教授、十菱駿武山梨学院大教授)が3月21日までに、石垣の原状保存や櫓建設の撤回などを求める要望書を藤井黎仙台市長らに提出。5月下旬に佐賀県で開く大会で、仙台城跡の石垣保存などを求める決議を採択する予定。
03月24日 仙台藩祖伊達政宗の霊廟・瑞鳳殿の入館者が400万人を突破。瑞鳳殿は1979年に再建され、仙台開府四百年を記念して昨年6月から改修工事を行ってきた。
04月03日 仙台開府四百年記念事業の一環として、仙台市文化財課が若林区古城の宮城刑務所北側に「若林城跡」と記した石柱を設置。若林城は仙台藩祖・伊達政宗が1636(寛永13)年に亡くなるまで、晩年の数年間を過ごした居城。刑務所内に残る土塁と周囲の堀が名残をとどめる。
04月08日 明治初期に仙台城を撮影したとみられる珍しい写真が載った冊子が盛岡市内で見つかったと河北新報が報道。写真は1875(明治8)年の洪水で流された大橋のたもとから撮影されており、広瀬川を挟み、奥に石垣と大手門が写っている。「明治初年廃藩置県ノ時旧藩士ノ屋敷ハ取リ壊サレ大手門及本丸ヲ市内ヨリ遠望シタル景」とあり、明治と改元されて間もないころに撮影されたらしい。
04月09日 「独眼竜政宗」などの作品で知られる仙台市の漫画家千葉真弓さんが、仙台城本丸跡の石垣修復工事と艮櫓復元事業に関する論争を分かりやすく解説する漫画冊子の第2弾「艮櫓と石垣のひっかかりマンガ」を発行したと河北新報が報道。昨年10月に発行し、注文が相次いで5000部を刷った「とっかかりマンガ」に続く自主製作。冊子は2600部印刷。市内の書店「宝文堂」や「ブックスみやぎ」、商店、喫茶店などで無料配布。問い合わせは、郵便番号980-0011、仙台市青葉区上杉1-15-10-301、まちのほこり研究室へ。
04月10日 仙台城本丸跡の石垣について「突刊石垣新聞」を自主発行している太白区の加藤ゆかりさんが、英語版「Stonewall Newspaper」第1号を作り、無料で配布していると河北新報が報道。A4判、1ページ。内容は「工事の概要」など日本語版と同じで、現場の写真やイラストも添えられている。問い合わせはishigakiyukari@yahoo.co.jp
04月20日 「仙台城の石垣を守る会」(世話人代表・平川新東北大教授)が、仙台城の石垣修復や艮櫓建設に興味を持つ市民グループを対象に、講師を派遣する「出前講座」を始めると河北新報が報道。「守る会」のメンバーが講師となり、5人以上の学習会などに派遣。仙台城石垣の文化財としての重要性や、石垣修復工事の現状、艮櫓建設の問題点を解説する。講師派遣を希望する場合は、参加者1人当たり100円の資料代と講師の交通費(実費)を負担。問い合わせは守る会事務局の柳原敏昭東北大助教授研究室022-217-6063へ。メールアドレスはtyana@sal.tohoku.ac.jp
04月23日 青葉山公園整備計画に絡み、城の本丸北側で無許可営業を続けている老舗売店「本丸茶屋」(菅田仁五郎さん経営)に対し、市が店舗の立ち退きと土地の明け渡しを求めていた訴訟の判決が仙台地裁であった。伊藤紘基裁判長は市側の訴えを全面的に認め、菅田さん側に土地の明け渡しと店舗の撤去、無許可で営業をしていた1999年4月から明け渡しまでの賃料相当額(年額145万2000円)を市に支払うよう命じる判決を言い渡した。菅田さんは、判決を不服として控訴する方針。
04月25日 「歴史科学協議会」(代表・宮地正人東大史料編纂所教授)は4月25日までに、仙台城跡の艮櫓復元計画の凍結などを求める要望書を藤井黎仙台市長や浅野史郎知事に提出。復元計画の凍結、仙台城本丸跡の石垣遺構の全体保存、修復工事における伝統工法の尊重、石垣修復と遺構の保護などを助言・指導する専門委員会の設置などを求め、同様の要望書は文化庁などにも郵送。
04月27日 仙台開府四百年記念特別展「仙台城−しろ・まち・ひと」(仙台市博物館主催、河北新報社など共催)が仙台市博物館で開幕(6月3日まで)。「東北の戦国時代」(1999年春)、「大名家の婚礼」(2000年春)に続く第三弾で、仙台開府四百年記念特別展の完結編。仙台城にスポットを当て、当時の城の姿や城内の生活、城下町仙台の様子をほうふつさせる仙台城絵図や障壁画など163点を展示。
05月15日 河北新報に「2001仙台市長選 ここが焦点/青葉山公園計画と艮櫓(上)共有できない情報/足りぬ市民への発信」掲載。仙台城の艮櫓復元事業をめぐる論争で、歴史学者の指摘する問題意識が市民と共有出来なかったために市の不当な決定を阻止できなかったという教訓から、出前講座などで市民に分かりやすく解説する取り組みをはじめた「仙台城の石垣を守る会」を紹介。これに対し、市からの情報発信は少なく、仙台城をどう活用し、市民の宝にしていくのか、市民にはほとんど伝わっていないと指摘する。
05月16日 河北新報に「2001仙台市長選 ここが焦点/青葉山公園計画と艮櫓(下)見えない政策決定/意見反映の受け皿を」掲載。仙台城の艮櫓建設や石垣修復など青葉山公園整備計画の経過を検証し、「市民とともに進めるまちづくりに残された課題」と位置付ける。
05月20日 河北新報「論壇」に太田秀春氏(東北大学大学院生・ソウル大学留学中)の投稿「韓国「倭城」の石垣修復/聡明な保護政策に感銘」掲載。豊臣秀吉の朝鮮出兵時に日本軍が築城し、韓国に30ヶ所ほど残る倭城の石垣修復事業を紹介し、仙台市の石垣修復や櫓の復元際しても関係者に韓国での倭城修復の例にみるような聡明な判断を求めている。
05月23日 仙台城本丸跡への艮櫓復元事業で、東北史学会(会長・入間田宣夫東北大教授)など史学関係7団体は、現存石垣への建設方針の撤回や、昨年8月に解散した専門家による検討委員会の再設置などを求める要望書をあらためて仙台市に提出。
05月25日 「日本史研究会」(代表・小山靖憲帝塚山大教授)は5月25日までに、仙台城本丸跡の石垣修復工事と艮櫓復元事業について、櫓建設の白紙撤回などを求める要望書を藤井黎仙台市長あてに郵送。研究会は浅野史郎知事や文化庁長官にも同様の文書を送付。
05月30日 日本考古学協会(甘粕健会長)の埋蔵文化財保護対策委員会は、仙台城跡の艮櫓建設計画の撤回を仙台市にあらためて申し入れ。同協会が市に要望書を提出するのは4度目。
06月01日 仙台市教委が制作した2000年度の仙台城跡発掘調査のビデオが完成し、市民への貸し出しを開始。ビデオは26分間で、石垣解体修復工事に伴う発掘調査の成果を中心に、仙台城の石垣の変遷や構造、石材の特徴などを解説。市民への貸し出しは、せんだいメディアテーク、市内の図書館、市政情報センター、太白区と若林区の情報センター、県図書館で。学校や社会学級など団体への貸し出しは、市教委文化財課で受け付ける。問い合わせは文化財課整備活用係022-214-8893へ。
06月01日 仙台城本丸跡の石垣修復工事で、積み上げた石垣の底辺部を公開。今回の石垣の一部はもともと地中にあったため、6月3日に一般公開した後に埋め戻される。
06月02日 仙台市教育委員会主催の「仙台開府400年記念フォーラム」が仙台市青葉区の市民会館で開かれる。仙台市教委文化財課の金森安孝主査が「仙台城本丸跡の発掘」、東北大大学院国際文化研究科の千葉正樹助手が「近世都市仙台の成立−双核都市から一核都市へ−」、国立歴史民俗博物館の千田嘉博助教授が「日本の城・世界の城と仙台城」と題し、それぞれ講演。その後、千葉、千田両氏に大村虔一東北大大学院工学研究科教授、浜田直嗣前仙台市博物館長を加えた4人が「仙台 政宗の夢−城とまちづくりを探る」をテーマにパネルディスカッションを実施。
06月03日 仙台城本丸跡で進めている石垣修復工事の現地見学会に631人が参加。
06月05日 藤井黎仙台市長が、仙台城本丸跡の石垣修復、艮櫓復元事業、仙台城跡発掘調査に関する3つの専門委員会を設置すると定例記者会見で発表。
06月12日 歴史学研究会(委員長・小谷汪之東京都立大教授)は6月12日までに、艮櫓の復元事業の見直しなどを求める要望書を仙台市などに提出。
06月12日 仙台城本丸跡の石垣修復工事と艮櫓復元事業で、文化財保存全国協議会(代表委員・十菱駿武山梨学院大教授ら)は、艮櫓復元の撤回などを求める要望書を藤井黎仙台市長らに提出。市に対し、復元計画撤回、石垣修復で伝統工法を守る、仙台城全体の学術的調査などを求めた。
06月19日 仙台城石垣修復工事をめぐり、仙台市と請負業者が結んだ特記仕様書で地元の石工職人の参加をうたっているにもかかわらず、仙台市内からは1人も加わっていないことが「仙台城の石垣を守る会」の指摘で明らかとなる。
06月20日 仙台城本丸跡の石垣修復工事に関し、「仙台城の石垣を守る会」(代表世話人・平川新東北大教授)は、情報開示請求を受けて市が公開した工事関係文書の分析結果を公表。問題点として(1)市が請負業者と結んだ特記仕様書に地元の石工職人の参加が明記されているのに、参加していない(2)破損した石垣の石と交換する新補材の形状変更について、昨年8月に解散した仙台城跡石垣修復等調査検討委員会の了解を得ていなかった−などと指摘した。
06月22日 歴史学者らでつくる「仙台城の石垣を守る会」は「仙台城石垣修復工事専門委員会」に文化財保護を重視した協議などを求める要望書を提出。市にも工法の問題点をただす質問・要望書を提出。
06月23日 仙台市が設置した「仙台城石垣修復工事専門委員会」の第1回会合が市役所で開かれた。委員長に新谷洋二東大名誉教授を選出。伝統工法の尊重を求める意見などが出されたが、本格的な議論は次回以降に持ち越された。
06月 日 「美しい仙台を創る会」(関敏ひこ代表)が、「杜の都バス見学ツアー」を行い、一般市民ら約50人が行政課題の指摘される青葉区の仙台城跡、泉区に建設中のごみ焼却施設・松森工場など8カ所を視察。
06月25日 仙台開府四百年記念事業推進協議会(会長・村松巌仙台商工会議所会頭)が募集していた助成事業の対象37団体が発表される。投票で伊達政宗以降の「賢人400人」を選ぶ企画や、「政宗の恋(仮称)」と題した朗読劇、仙台城下を流れた四ツ谷用水のかるた作りなど。
06月29日 「仙台城の石垣を守る会」(代表・平川新東北大教授)が同日発足した「仙台城艮櫓復元専門委員会」の佐藤巧委員長に「艮櫓は資料的根拠のない現代建築物だ」「建設は築城期の石垣を破壊し、現存石垣の安全性を脅かす」など8項目の質問を提出し、計画の白紙撤回と市民との対話を要望。
06月29日 仙台市が設置する仙台城関連の3専門委員会の一つ「仙台城艮櫓復元専門委員会」の初会合が市役所で開かれた。委員長に佐藤巧東北大名誉教授(建築史)を選出。市側がこれまでの経過を説明し、次回以降に設計や施工方法について本格的に議論する。委員は建築計画、古建築などの専門家6人。委員会終了後、傍聴者数人が「委員は仙台市の言いなりか」と詰め寄ると、佐藤委員長は「この委員会は、艮櫓の建設位置が決まっていることが議論の前提」と説明。
07月12日 仙台市の「仙台城石垣修復工事専門委員会」(委員長・新谷洋二東大名誉教授)の第2回会合が市役所で開かれ、委員会の検討を待たずに修復工事が進んでいる状況に疑問が出された。市側は専門委による検討を尊重するため、工事のペースダウンや一時中止なども視野に入れる姿勢を示した。
07月21日 河北新報に「私はこう取り組む 仙台市長選立候補者アンケート/政策課題」掲載。仙台城の復元に関しては、8人の候補者のうち4人が艮櫓の建設中止を、藤井候補を除く7人全員が青葉山公園計画の見直しを表明。
07月25日 7月29日投票の仙台市長選挙を前に、10団体以上が公開質問状を提出していると河北新報が報道。「美しい仙台を創る会」は、仙台城本丸跡の石垣修復やごみ焼却施設「松森工場」建設の是非などを問う質問状を送付。全員が回答を寄せた。
07月29日 仙台市長選挙の投開票で現職の藤井黎氏が圧勝。翌日の河北新報「解説」は「明確な対立軸が示されず、実相は「藤井氏が負けを逃れた」選挙」と指摘。
08月03日 仙台開府四百年を観光客や市民にアピールしようと、仙台商工会議所と仙台七夕まつり協賛会、河北新報社などがJR仙台駅前の複合ビル「アエル」1階のエントランススペースに、仙台城の艮櫓のモニュメント(縦4.2m、横6.2m、高さ7.9m、木製)を設置。8月8日まで展示される。
08月10日 仙台市の「仙台城石垣修復工事専門委員会」(委員長・新谷洋二東大名誉教授)の第3回会合が市役所で開かれる。安全性を確保しながら伝統工法を尊重するため、従来の石材を再調査してできるだけ石積みに生かすとともに、破損を補う中国産石材(新補石材)の形状を従来と同じ角すい形に加工して積むことを決めた。
08月20日 広瀬川・宮沢橋周辺で行われた「広瀬川灯ろう流し」で、約400年前の仙台城築城の際に起こった「小人(こびと)騒動」で亡くなった下級武士たちの供養が併せて行われる。
08月24日 仙台開府四百年を記念し、仙台市の復建技術コンサルタント(吉川謙造社長)が江戸時代の仙台城下絵図と現代の地図を重ね合わせた「仙台城下現代複合図」を製作し、藤井黎仙台市長に寄贈。
09月03日 仙台開府四百年記念事業推進協議会(会長・村松巌仙台商工会議所会頭)の第4回総会が仙台商工会議所で開かれ、協議会が主体となって11月3、4日に開く「仙台開府四百年秋まつり」の素案を了承したと河北新報が報道。4日の本祭りのメーンは50年後の市民にあてたメッセージを入れたタイムカプセルづくり。また、開府四百年事業の一つとして、テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の「出張なんでも鑑定団in仙台」の制作と収録に参加する。
09月05日 仙台市の「仙台城石垣修復工事専門委員会」(委員長・新谷洋二東京大学名誉教授)の第4回会合が市役所で開かれる。破損を補う中国産の新補石材の控えの長さと形状について、新補石材を破損した古い石材に近づけることを確認。石垣の背面にあった階段状石列を、見つかった状態に近づけて復元することも確認した。
09月07日 研修などのため来日しているアジア各国の経済学者らが仙台城跡を訪れ、市民の間で議論が続く石垣保存や艮櫓復元問題について説明を受けた。城跡では「仙台城の石垣を守る会」世話人のジョン・モリス宮城学院女子大学教授が、石垣解体で古い石垣が姿を現した経緯や、北東角に復元予定の艮櫓の概要と史実に照らした場合の問題点を説明。「行政と経済界主導で決定した大型プロジェクトだ」と述べる。参加者は石積み途中の工事現場を見ながら、「自分の国にも文化財保存に関して似たような議論がある」「日本では市民が対等に政治に参加できないのか」などと質問した。
09月30日 仙台城跡など全国各地の城郭や石垣の発掘担当者が調査成果を報告する「城と石垣 全国シンポジウム」(東北史学会など主催)が、仙台市青葉区のアエルで開催され、全国から関係者や市民約400人が詰め掛ける。文部科学省文化審議会専門委員の峰岸純夫中大教授が「城郭保存・整備の現状と問題点」と題して基調講演。仙台城跡の石垣修復に関して、峰岸教授は「地上の艮櫓復元と石垣の保全をセットで行うのは無理がある。行政と市民は『悔い(杭)を千代(仙台)に残さないよう』複眼的に考えるべきだ」と強調した。
10月09日 全国の地方史研究者らでつくる地方史研究協議会(高島緑雄会長)が、仙台城跡の石垣修復工事と艮櫓復元事業について、「櫓の構築は歴史的事実に反し、見学者に誤った歴史認識を抱かせ地域の歴史像を否定することにつながる」として古い石垣の保存や艮櫓復元事業の中止・凍結を求める要望書を藤井黎仙台市長らに提出した。
10月11日 仙台市が仙台城本丸跡で行われている石垣修復工事現場に、新しい見学用の展望台を開設。仙台城跡の政宗騎馬像の裏側で、石積み作業が進む工事現場を一望できる。石垣のすぐわきを通る市道青葉城線のトンネル上部にも昨年11月に設置された展望台がある。
10月17日 仙台市が設置する仙台城関連の3つの専門委員会の1つ「仙台城跡調査指導委員会」の初会合が市役所で開かれ、委員6人が出席し、委員長に斎藤鋭雄宮城県農業短期大学名誉教授(近世史)を選出。委員から「現在は3つの専門委員会が別々に動いているが、できるだけ連携を図った方がいい」として、3委員長による連絡協議会の設置を求める意見も出される。仙台市は仙台城関連で、石垣修復と艮櫓復元、仙台城跡発掘の事業別に専門委を設置する意向を示し、これですべての専門委が発足した。
10月17日 「仙台城の石垣を守る会」が同日発足した「仙台城跡調査指導委員会」の斎藤鋭雄委員長に対し、文化財保護の観点を審議に反映させるよう求める要望書を提出。
10月19日 東北大学埋蔵文化財調査研究センター(須藤隆センター長)が仙台市青葉区川内の川内北キャンパス内で、5月から調査していた仙台城二の丸北方の武家屋敷地区(810平方m)の発掘調査の概要をまとめ、報道陣に公開。敷地内に江戸時代のごみ穴があり、建築廃材や宴会で使った道具が大量に捨てられていた。ごみの始末に困っていた当時の様子が分かるという。
10月21日 東北大学埋蔵文化財調査研究センター(須藤隆センター長)が仙台市青葉区川内の川内北キャンパス内で、5月から調査していた仙台城二の丸北方の武家屋敷地区(810平方m)の発掘調査の概要をまとめ、現場を一般に公開。
10月24日 仙台城本丸跡で進めている石垣修復工事について28日の一般公開を前に報道関係者に現場を公開。今後埋め戻される予定の発掘で見つかった北東部の古い一期石垣のほか、市がこれまでに積んだ六段分の石垣と、これから復元していく石垣内部の階段状石列の一部など。
10月25日 仙台市議会の第二会派「民主フォーラム」(斎藤建雄代表)が発表した基本政策の中で、産業政策として「仙台城跡を含む青葉山地区と周辺の一体的整備による観光資源の開発」を挙げた。
10月25日 宮城野区の仙台市田子中(山田貢校長、生徒454人)で、開校10周年を記念して制作されたモニュメントが完成し、除幕式が開かれた。モニュメントは、仙台城の石垣工事で掘り出された大小7個の石を約5m四方の土台に配し、それぞれを泉ケ岳や田子中などに見立てた。
10月26日 仙台市出身の詩人土井晩翠(1871-1952年)をしのぶ「杜の都にひびけ『荒城の月』市民大合唱」(土井晩翠顕彰会主催)が命日の「晩翠忌」にちなんで青葉区の仙台城跡で行われる。
10月28日 仙台市が仙台城本丸跡で進めている石垣修復工事の見学会が現地で行われ、300人を超える市民らが訪れた。一期石垣のほか、これから復元していく石垣内部の階段状石列の一部や、石を削って積み上げる石工職人による作業の様子などが公開された。
10月31日 仙台開府四百年記念事業の一環として仙台市などが市民から募集している「タイムカプセル ゆめメッセージ」の応募が低調との記事が河北新報に掲載される。市企画局は「PR不足」と反省し、締め切りを延ばして積極的な応募を呼び掛けている。
11月01日 河北新報「論壇」に平川新東北大東北アジア研究センター教授(日本近世史)の投稿「艮櫓の建設中止を/史実に即した整備必要」掲載。
11月03・04日 仙台開府四百年記念事業推進協議会が「仙台開府四百年秋まつり」を勾当台公園と市民広場などで開催。「伊達の夢2001パレード」すずめ踊りを踊る市民グループが、タイムカプセルや、仙台城跡の石垣修復に使用する裏込め石を載せた山車2台を先導。市民広場から青葉区の仙台国際センターまでの約2.7kmをおよそ1時間半かけて練り歩いた後、50年後の市民に向けたメッセージ約13000枚などを入れたタイムカプセルを同センター敷地に埋めた。
11月20・25日 第35回仙台市文化財展「仙台城とその時代―城とまちのくらし」が仙台市博物館で開催。仙台開府四百年記念事業の一環で、仙台城跡と城下から出土した食器などの遺物約150点を展示。江戸時代後期に仙台城の城門に使われたとされる鯱瓦や、本丸跡の石垣の立体写真を初公開。
11月28日 仙台市が進めている仙台城周辺の青葉山公園整備計画をめぐり、城の本丸北側で無許可営業を続けている売店「本丸茶屋」(菅田仁五郎さん経営)に対し、市が店の立ち退きと土地の明け渡しを求めた訴訟の控訴審判決が仙台高裁であり、喜多村治雄裁判長は「土地の使用権限は、市の管理許可にゆだねられている」として、市側の請求を認めた一審仙台地裁判決を支持、菅田さんの控訴を棄却した。さらに「公園の石垣修復工事を効率的に進めるには、できるだけ早く土地を利用する必要性がある」として、立ち退きと土地明け渡しの仮執行を認めた。
12月20日 仙台市教委が国庫補助を受けて進める青葉区の仙台城跡発掘調査で、本丸の中心だった「大広間」の建物跡が見つかったと発表。絵図などに記録が残っているが、大広間の一部が確認されたのは明治初期に城が取り壊されて以来初めて。金メッキなどの飾り金具も出土した。
12月22日 仙台市教委が国庫補助を受けて進める青葉区の仙台城跡発掘調査で、本丸の中心だった「大広間」の建物跡が見つかり、現地説明会を開催。
12月25日 仙台市が進める仙台城本丸跡の艮櫓建設をめぐり、「美しい仙台を創る会」(関敏ひこ代表)が史実に忠実な対応を取るよう市に要望書を提出。要望書は現在の計画で艮櫓を建設することにより、仙台城跡が永遠に国の史跡指定を受けられなくなる恐れがあると指摘。今後の方針について、1月末まで返答するよう市に求めた。
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